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美容室の同一企業が別ブランドで展開してる本当の理由

前回に引き続き、美容関係の業界ネタです。
福岡近郊を中心に店舗展開している美容室があります。料金的にも高級店の部類に入る店舗ですが、ブランド力もあり、いつも賑わっています。仮にAというブランドにしておきましょう。Aブランドで現在5店舗展開しているのですが、ここ1・2年で全く違うBというブランドで3店舗開店されました。
ただでさえブランド力あるA店なのに、なぜわざわざ違うBブランドの違う店舗展開を進めるか・・・。

単にマルチブランド戦略かと思いきや、これには良く考えられた戦略が見え隠れします。

実は、Bブランドは高級店舗のAとは違い、価格帯がAの1/2約半分です。すなわち、Aを利用する感覚ならBには2回行く事が可能になります。広告文には、以下のような表現があります。

「私達が目指したのは、たくさんのお客様にキレイになって頂くことでした」

「それなのにいつの間にか、キレイで高級な美容室を目指すようになりました」

「高級な美容室では、気軽に何度も利用してもらえません」

「原点に帰り気軽に何度も来店してもらえる、適正価格、よりよいデザイン、スピーディな施術時間を提供できる店舗を提供して参ります」

ポイントだけですが、こういう事が書かれています。
これは一般利用者への広告文ですから、単純にあの高級店が安い価格帯の店舗で気軽に足を運べるようになったという事になります。

経営的な視点から見ると(あくまで推測ですが)、昨今のデフレ傾向もあり、高級だけでは先々が見えづらい、ならば安い価格帯も取り込める店舗を作り、両方の市場を席巻してしまおうという事でしょう。(所謂マルチブランド戦略の考え方ですね)その為には、単価が下がる分、来店数のアップとそれをこなす時間の短縮にこだわり、徹底して稼働率を高める作戦でいこう、こういう事だと思います。現にBブランドの店舗も常に込み合っています。予約なども取らないシステムなのでしょう。待ってるお客さまも多いようです。

さて、ここまでが一般的な考え方です。冒頭に良く考えられた戦略が見え隠れすると書きました。あくまでも推測であるという事を前置きした上で書きますが、もうひとつ重要な経営的な戦略があると思います。

この業界の抱えている問題に、人材確保の課題があります。人材募集をしても中々集まらない、定着率が悪い、中々技術者としていい人材が育たない等など、人に関する問題を多くの店舗が多かれ少なかれ抱えています。この事例は、ここを解決する為のひとつの人事施策でもあると思います。

Aブランドで募集をすれば、有名店舗ですからそれなりに求職者の応募はあるでしょう。ところが、Aブランドの技術水準には到底満たないケースも多いでしょう。その受け皿としてBブランド店舗があるのではないかと思うのです。Bブランド店舗は、言うなれば回転数の店です。そちらに人件費も技術力も高い人材を配置するわけにはいきません。キャリアが浅い人材なら、経験を積むという意味で格好の修行場となるわけです。場合によっては、新卒者をBブランドで採用、一から育て上げるという事も可能になるわけです。そこで仕事をする人も「いつか自分もAブランド店舗で」と、モチベーションが高まる事も想像できます。

推測なので、本当の所はよく判りません。ただこの企業が仮にその思惑ではじめていないにしても、結果的にそうせざるを得ない業態になるので、大変いい効果を生み出しているのではないかと思います。
違う価格帯のマーケットを2ブランドで獲得する、ついでにそれを自社の人材育成にも活かしてしまう、よく練られた戦略だと思います。

(written by スケールフリーネットワーク)

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