自治体が運営する通販サイトとして、「FB良品」が話題になっています。テレビなどでも紹介されましたから、知ってる方も多いと思います。中心になって推進しているのは、佐賀県武雄市(樋渡市長)で、この市長中々の改革者で、これまで出来なかった事、やれなかった事に取り組むチャレンジ姿勢は、素晴らしい方だと思います。
そう評価し、前置きしながら、この「FB良品」には課題も見え隠れするので、客観的に見てみたいと思います。
まず、この通販サイトは当初、「F&B良品」としてFacebook内でスタートしました。ご承知のようにこれも話題になりましたが、武雄市は市のサイトをFacebookに移行してます。改革者の市長、Facebookこれは使えると思われたのでしょう、市のサイトに引き続き即座に地元物産を販売する通販サイトをFacebookで立ち上げました。ところが、Facebook経由ではモノは売れない事に気付かれたかどうかはさだかではありませんが、「FB良品」として昨年12月にリニューアルし、1月末現在10自治体が参加する(陸前高田・燕三条・那須高原・南砺市・多可町・宇多津町・大刀洗町・武雄市・薩摩川内・石垣島)モール型ネットショップとなっています。
言っておきますが、この「FB良品」Facebookとも無印良品(良品計画)とも全く関係ありません。まずここが、自治体が運営するサイトのネーミングとして、どうなのかなぁと誰しも思うのではないでしょうか。この紛らわしいネーミング、自治体としては不適切だと感じます。それを気にしたのか、TOPページにはFun(楽しく)、Buy(手に入れよう)と書かれていますが、これは後付けこじ付けと思われても仕方ないと感じます。
次に思うのが、このサイトの検索機能が全くなってない事です。モール型ネットショップという事は、楽天市場やyahooショッピングと同じです。「FB良品」をポータルサイトとして、その下にそれぞれの自治体サイト(ショップ)が並ぶわけですが、このショップをまたいでの検索が完全ではないと思われます。ポータルサイトの最上部に検索が設置されていますが、私が色んなワードで検索を試してみても、不完全だと思います。例えば、「漬物」で検索すると表示されるのに「漬け物」や「漬もの」だと表示されませんし、ひどいケースだと商品名に入ってるワードで検索しても表示されません。これだと商品を探すのにページをまたいであっち行きこっち行き、利便性が悪く致命的です。
またモール型ネットショップは、何と言ってもその出店ショップ数と商品アイテム数が命です。「FB良品」の場合、現在10店舗(自治体数)で約200点程度の商品数です。店舗数は、話題性もあり各自治体への働きかけもされているのでしょう、増加傾向にあるので良しとしても、商品点数は圧倒的に不足だと感じます。「このショップは品揃えが悪い!」と思われた時点で終りです。
各ショップ(各自治体のTOPページ)も、あまり思い入れを感じないあっさりした作りです。ネットショップの場合、商品情報に熱さや思い入れが無いといけないと思います。それは、他の一般通販サイトを見れば一目瞭然です。私がここを見る限りでは、単に配布されたテンプレートに載せるだけという、ある意味業者任せのあっさり観を感じてしまいます。(もしかすると自治体の現場の方々も、なんでオレたちがこんな事を・・・とでも思っていらっしゃるのでしょうか。そういう姿勢は意外と伝わってしまうものです・・・。)
同様の通販サイトに、地方の新聞社がそれぞれの地元の商品を販売する47CLUBや、全国の空港からご当地のお土産をお取り寄せできる空港通販ポータルサイトクーコ・モールなどがありますが、これらと比較しても見劣りは否めないと思います。
自治体のお仕事もさせて頂いてる私が、ここまで辛口のコメントをするのも如何なものかとは思うのですが、斬新なアイデアで色んな事にチャレンジされる樋渡市長にはぜひ成功してもらいたいからこそ、こうして書かせてもらうのです。
「FB良品」は、現時点では地方自治体がやっているというパブリシティ先行、話題性のみで他には特徴的な事はないサイトだと思います。地方自治体がやっている=地方自治体にしてはやっている、新しい取り組みにすぎないと感じます。
※2016年5月加筆=上記記事中の空港通販ポータルサイト「クーコ・モール」は、2016年3月31日をもってサービスを終了しています。「クーコ・モール」の閉鎖以降、各空港のオンラインショップは引き続き運営の模様です。
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(written by スケールフリーネットワーク)