昨日、住友商事がネットスーパーから撤退するという報道がありました。
高齢者や体の不自由な方、子育て世代の所謂買い物弱者にとって便利な日用生活品の宅配サービスの市場は、企業にとって魅力的な市場として各社参入していますが、今回住友商事の撤退理由は、コストがかかり過ぎてビジネスとして成り立たないという判断の様です。
住友商事のネットスーパー事業は、首都圏で2ヶ所の物流センターに商品を集約し、ネットを通じて受け付けた商品をそこから配送するという仕組みでした。
しかし、これにはかなりのコストや課題があったと思われます。
・配送に関わるコストが大きい=車輛、ガソリン、配達エリアまでの時間など
・配送に至るまでのピッキング作業=オーダーに従って決まった時間で商品を選ぶ作業
・運営面の効率の悪さ=配達時間が特定時間に集中するなど
ネットスーパーは、現在約100社位が参入していると言われ、黒字化できている企業は数社と聞きますし、コンビニの宅配、近くの実店舗スーパーの宅配等との競争が激しい市場です。
成長市場にも関わらず、そのコストが吸収できていないというのが実態で、サービスの一環として行われているという側面もあるように感じます。中には他社がやっているからうちもやらないと的、無理してやってる観もあり、今回の住友商事の例を期にやめる企業もあるのではないかと心配します。
しかし、宅配サービス市場は魅力的であり、それを有難く思うお客様が存在するのであれば、何とか活路はないものかと考えます。
私が思うにそれは配送料を有料化した上での『適正価格』サービスです。そもそもこのビジネスモデルは、店舗に来れないお客様がいるから宅配サービスをするのであって、「届けてくれる行為」を有難く思い便利だと価値判断するわけですから、商品販売とは別のサービスだと感じます。サービスの価格(価値)は、お客様のサービスに対する評価価値×サービスから受けるメリットのはずです。商品の値段を定価以上で販売するわけにはいかないでしょうから、商品代金と配送料とは分けて考えるべきだと考えます。もちろん、利用者側からすれば安いにこした事はないのですが、お客様に喜んで頂き、満足して頂くサービスには必ず最低限のコストはかかります。すなわち『適正価格』が必要だという事です。利益なきビジネスでは、このサービスを有難く思っていたお客様に最終的には迷惑をかける事になると思うからです。
ネットの場合、配送料の無料というとAmazonや全商品送料無料のZOZOTOWNなどと比較されてしまいがちです。しかし、Amazonで言えば商品によっては配送料がかかりますし、全商品無料ではありません。ZOZOTOWNは、全商品無料と謳っていますが元々アパレルは仕入れが安く利益率が高い事業です。日用生活品、特に食品などはそういうわけにはいきませんから、お届け料を頂く、もしくは取れないとするならそのコストを吸収する為の別モデルがなければと考えます。
ネットスーパー事業は、今岐路に立たされていると思います。
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(written by スケールフリーネットワーク)