ブランド力をつける意味で、キャラクター展開は常套手段になりつつあります。自治体が手掛けるキャラクター展開としては、
宮崎県が前東国原知事自らをキャラクターとして展開したり、ゆるキャラブームの火付け役となった滋賀県彦根市の「ひこにゃん」などがあります。その中でも最もブランド効果が大きかったと思われるのが、熊本県の「くまモン」で「ゆるキャラグランプリ」でも1位を獲得するなど、もはや全国区の人気となっています。
「くまモン」は、キャラクターとしての使用権のみならず、公務員として様々なイベント・PR活動まで活躍してますし、キャラクター使用から生まれる関連商品の販売売上、そしてPR活動など広告料換算すると莫大な額です。
先ごろ熊本県はこのキャラクター効果(くまモンを使用した関連商品売上高)を数字で発表しました。2012年度の関連売上が把握しているだけでも293億円で、これは前年の約11倍にあたるというまさに「くまモン」様さまなのです。「ひこにゃん」でさえ最高売上は、17億円だったと言いますからいかにこの数字がすごいかよく判ります。まぁ関連商品を見れば、お土産物はもとより、ティッシュペーパーからトイレットペーパーの生活用品、食品等などいたる所で使われていますから、さも有りなんという感じはしますが・・・。
なぜこれほどあらゆる商品に使用されてるかというと、県がキャラクター使用料を取っていないという事にもあると思います。企業からの申請に対して、パスしさえすれば使用できるわけです。この事は、申請件数を見れば一目瞭然で11年が約2400件だったのに対して12年は3倍以上の約7800件となっています。県とすれば、別に使用料は取らなくてもその分関連商品の売上が上がれば、企業からの税収は増えます。地場企業の知名度も上がり、地元物産振興にもつながり、税収も増えるとなれば、まさに狙い通りといった所かもしれません。
この使用料を取っていないという事も大きな理由ではあると思うのですが、もうひとつはこの「くまモン」のキャラクターとしての完成度の高さにあると思います。実際に熊本県には熊はいるはずものないのですが、その発想、キャラクターデザインのシンプルさ、表情のコミカルさと豊かさからくる可愛らしさ、着ぐるみ等にした場合を想定したデザインなど、どれを取ってもなるほど人気が出るはずだと思われる創りになっています。調べました所、やはりこれは専門のクリエイターさんの仕事でした。
一般的に自治体のキャラクター等によくあるのは、公募をしてその中から選ぶという方法です。この方法もやりようによっては面白い作品が出たりはするのですが、一般的にはいかにも官公庁らしい面白みに欠ける作品になる事の方が多いような気がします。これは制作にあたり、商業広告的な視点で発想できるかどうかにあると思うのです。単にキャラクターを創るのではなく、そのキャラクターが、生きものとして動き出し商業ベースに乗った時、どういう拡がりを持てるのか、そこまで計算されたディレクションはプロにしか出来ないと思うのです。
プロにはプロのノウハウと感性・経験があるからこそ生み出せると思うのです。
(written by スケールフリーネットワーク)