前回に引き続き、新しいビジネスの紹介です。
ただこちらは、NPO法人が取り組んでいる、社会的な公共性と貢献性の高い事業です。メディアで何度も取り上げられた事があるのでご存知の方も多いと思いますが、大阪でNPO法人であるhomedoorが取り組む、自転車のシェア及びレンタル事業HUBchariです。
事業の概略は、社会問題でもある放置自転車を修理し、それを「ポート」と呼ばれる協力店舗などの軒先に置かせてもらいシェアレンタル自転車として有料で貸し出すというものです。さらに、ここが一番のポイントだと思うのですが、自転車修理やポートスタッフは、ホームレス出身の生活保護受給者であるという事。
今や、観光地などに行けばレンタルサイクルはどこにでもあるようになりました。福岡の観光地である太宰府にもありますし、福岡市内にもあります。福岡市行政も福岡ソフトバンクホークスマーケティングとの共同事業で、自転車を有料で貸し出す「コミュニティーサイクル事業」を社会実験として実施しています。ただこちらは、目的が二酸化炭素(CO2)の排出削減や利用者の回遊性を高める環境問題や観光問題が狙いですから、根本的にHUBchariとは全く違うわけです。
HUBchariは、大阪市の抱えるいくつかの問題点を一度に改善する事業として評価されますし、注目されています。
まずは、ホームレス問題です。大阪市は全国的に見てもホームレス人数の多い地域です。(別グラフ参照)制度が変わりホームレスの方でも生活保護申請が可能となりましたから、表面上は全国的に減少傾向にありますが、それでも福岡市あたりと比較すると10倍位の人数です。
HUBchariのスタッフは、生活保護の受給によって何とかホームレス状態を脱したものの、仕事を見つけられずにいる方です。単純に雇用創出をしているというものではありません。自身が社会に必要とされていると感じつつ、社会復帰の手助けをしている点で目的の違いを感じます。
もうひとつは、こちらも全国的な問題なのでしょうが、不法投棄や盗難車の放置自転車問題があります。放置自転車の撤去・移動・保管などには、当然税金が使われるわけですが、自治体によっては年間億単位の予算が組まれるわけです。
調べた所によると、ホームレスの方たちは自転車を直すのが得意らしいのです。ホームレス生活は、自転車で空き缶集めをするので、自転車の使用頻度も高く壊れもします。これを自分で直しているうちに自然と「技術」を身につけているとの事だそうです。
こうして「人」と「モノ」を結び付け、事業としているわけです。
「ポート」と呼ばれる協力店も事業に賛同して、軒先を貸します。利用者の集客にも結び付くのでしょうが、何より社会的な貢献もあり喜びも大きいのではないかと思います。
私は、これは事業としてももちろん優れているわけですが、人として生きる喜び、働く喜び、人と人の繋がりを感じる仕組みを作っているという点で、すばらしいビジネスモデルだと思います。
聞けば、代表者は川口さんとおっしゃる学生の方だと聞きます。また14歳の頃からホームレス問題に取り組んでいらっしゃるとの事。
こういうのを聞けば、川口さんには大変失礼ですが、まだまだ日本の若者も捨てたもんじゃないと思ってしまいます(笑)
皆さん、大阪に出張された時はHUBchariを利用しましょう。
このビジネスが優れている点
①社会問題を改善する仕組みとして社会貢献性が高い
②関わる人全てが生きる喜び・社会的貢献を感じ取る事ができる
(written by スケールフリーネットワーク)